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年金受給者が不動産売却すると支給額は変わる?影響や見直すべき点もご紹介

不動産売却ノウハウ

和田 椋也

筆者 和田 椋也

神戸市出身加古川在住の一児の父です。
地域に根ざした不動産のプロとして、後悔のない売却・購入ができるよう正直な情報をお伝えします。

ご自身の老後を安心して過ごすために、不動産の売却を検討されている年金受給者の方は少なくありません。しかし、「不動産を売ったら年金の支給額が減るのでは」「税金や保険料は増えるのだろうか」といった不安を抱えている方も多いのではないでしょうか。この記事では、年金支給額への影響の有無や、不動産売却時に知っておきたい税金や社会保険料のしくみ、売却後の生活設計まで、分かりやすく解説します。不安を解消し、納得のいく売却に向けて一緒に学んでいきましょう。

年金受給者が不動産を売却しても年金支給額に影響はないという基本の理解

まず重要なのは、公的年金(国民年金・厚生年金)は、現役時代に納めた保険料や加入期間に応じて決まる「積立型」の給付制度であるため、不動産を売却して一時的に利益が出たとしても年金の支給額が減ることは原則ありません。そのため、売却によって年金が減らされる心配は不要です。

次に、「在職老齢年金(働きながら受け取る厚生年金の支給調整制度)」についてですが、この制度はあくまで会社などから受け取る給与や賞与を対象としており、不動産売却による収入は給与に該当しません。そのため、売却益によって在職老齢年金が減額されることはありません。

ただし例外として、「障害基礎年金(特に20歳前障害)」には所得制限があります。不動産売却により得た譲渡所得が一定額を超えると、支給が一部または全部停止される可能性がありますので、該当される方は注意が必要です。

年金種類不動産売却による影響備考
老齢年金(国民年金・厚生年金)影響なし保険料納付実績に基づく給付
在職老齢年金影響なし給与所得が基準で対象、不動産収入は対象外
障害基礎年金(20歳前障害)場合によって影響あり所得制限あり、譲渡所得次第で支給停止も

不動産売却で生じる税金と確定申告のポイント

不動産を売却して利益が出た場合、その所得は「譲渡所得」として課税されます。譲渡所得は、売却金額から購入時の取得費や仲介手数料などの譲渡費用を差し引いて算出します。建物の取得費は、購入金額からその間の減価償却費を差し引く必要があります 。

売却した不動産が居住用財産であれば、「居住用財産の3000万円特別控除」が適用されることがあります。これは譲渡所得から最大3000万円を差し引ける制度で、大幅な節税につながります 。

確定申告は、譲渡所得が発生した場合には原則として必要となります。ただし、年金受給者の方については、公的年金など以外の所得が20万円以下であれば申告は不要となる「確定申告不要制度」があります。譲渡所得が20万円以下の場合には、申告不要となるケースがありますが、超える場合には申告が必要です 。

以下に、不動産売却における税金・申告の要点をまとめた表をご覧ください。

項目 内容 留意点
譲渡所得の計算 売却価格 −(取得費+譲渡費用) 建物は減価償却費を差引くこと
3000万円特別控除 最大3,000万円を譲渡所得から控除可能 居住用であることなど要件あり
確定申告の必要性 譲渡所得が20万円以下なら申告不要の可能性あり 年金以外の所得総額に注意

不動産売却によって増加する可能性がある社会保険料・介護保険料への備え

不動産の売却によって譲渡所得が発生すると、その翌年度に国民健康保険料や後期高齢者医療保険料、さらには介護保険料が増える可能性があります。特に自営業者や年金生活者、そして75歳以上の後期高齢者に該当する方は要注意です。

対象となる保険保険料の算定基準不動産売却の影響
国民健康保険前年度の総所得(譲渡所得含む)に基づく(所得割、均等割、平等割など)譲渡所得が増えると所得割が増し、保険料が高くなる
後期高齢者医療保険前年度の所得に基づく(所得割など)譲渡所得により翌年度の保険料が上がる可能性がある
介護保険前年所得に応じて保険料およびサービス利用時の自己負担額が決まる譲渡所得が増えると保険料や負担割合が高くなることがある

具体的には、国民健康保険の「所得割」は前年の譲渡所得などを含む所得が高くなるほど増加します。たとえば譲渡所得が発生した場合、その翌年度の保険料が大きく跳ね上がるケースもあります。自治体ごとに保険料率や上限額は異なるため、ご自身がお住まいの市区町村でご確認ください 。

また、後期高齢者医療制度(75歳以上)に加入している方も同様に、譲渡所得によって保険料が増える仕組みです。いずれも年金からの天引きとなるため、思ったよりも手取りが減ると感じる方が多いです 。

さらに、介護保険料や介護サービス利用時の自己負担割合も、所得が増えるほど高くなります。とくに年間合計所得が220万円を超えると、自己負担割合が1割から最大3割に引き上がることがあります 。

こうした負担増を見越して、売却後の資金計画を立てることが重要です。確定申告時に譲渡所得や控除の適用状況を正確に把握し、翌年度にかかる保険料や支払い金額の見通しを立てることで、急な負担増に備えることができます。

売却後の生活設計と制度上の給付への影響についての確認

年金受給者の皆さまが不動産を売却された後の生活設計においては、さまざまな制度上の給付や負担に注意が必要です。まず、「老齢年金生活者支援給付金」(いわゆる年金生活者支援給付金)についてです。この給付金は、原則として前年の「公的年金等の収入」と「その他の所得」の合計が一定の基準額(概ね88万円以下)以下であることが条件とされています。不動産売却により譲渡所得が発生すると、この収入に含まれるため、基準額を超えた場合には給付金の支給が停止される可能性があります。影響は売却後すぐではなく、翌年10月以降の給付から適用される点にも留意が必要です。そして、再び支給要件を満たすようになれば、翌年度に改めて請求手続きを行うことで再開されることも可能です。

つぎに、生活設計の観点として、税金や社会保険料・介護保険料の増加を見込んだ資金準備が大切です。不動産売却による譲渡所得は、確定申告で申告されると総所得に含まれ、国民健康保険や後期高齢者医療保険料、介護保険料(該当する場合)に反映されます。特に国民健康保険は所得割があるため、所得が増えると保険負担が大きくなる傾向にあります。一方、会社員や公務員で勤務先の健康保険・共済保険に加入している場合、譲渡所得は保険料の算定対象とならないことが一般的ですが、扶養家族が対象となっている場合には注意が必要です。こうした増加や変化を見越したうえで、生活費や住居費などの見通しを立て、計画的な資金の確保に備えることが重要です。

最後に、ご不安な点がある場合には、早めの相談をおすすめします。お住まいの市区町村の窓口や年金事務所では、年金生活者支援給付金の要件や申請手続き、保険料の算定基礎となる所得の扱いについて、具体的な事例にもとづいて丁寧に案内を受けることができます。安心して生活設計を進めていただくためにも、ご相談先を活用されることを強くおすすめいたします。

確認・準備項目内容対応の目安
支援給付金譲渡所得を含めた所得が基準を超えると支給停止の可能性翌年の10月以降
保険料・介護料の増加譲渡所得が総所得に含まれ、国保・後期高齢者医療・介護料に反映売却翌年以降
相談窓口市区町村・年金事務所での手続き・相談の活用売却前~売却後すぐ

まとめ

年金受給者が不動産を売却した際、年金そのものの支給額が減額されることはありません。しかし、不動産売却に伴う譲渡所得が生じる場合、税金や社会保険料、介護保険料が翌年以降に増加することがあります。また、売却益によって他の給付制度の対象から外れる可能性や、確定申告が必要となる場面も出てまいります。手取り額やその後の生活設計に不安がある方は、事前に必要な制度や負担増加を確認し、余裕をもって備えることが大切です。分かりやすく丁寧な情報提供を心掛けておりますので、不明な点はどうぞお早めにご相談ください。

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